窓の外の顔
ある、気温の良い日の夜、アパートで一人暮らしをしている女の子が、窓を半分開けて、網戸にしてくつろいでいました。その子の部屋はアパートの1階にあります。
テレビを見ながらお菓子を食ったりしていたのですが、ある瞬間、全くなんの理由もなかったのですが、つい窓の方を見てみました。
すると網戸のすぐ外には、男の顔が一つあって、じーっと自分の方を見つめていました。男は無表情。もろに目と目があって、その子は腰を抜かすほどにブッたまげました。
硬直して体が動かせない、声も出せない。人間、あまりに恐怖を感じるとこうなるみたいです。
これは別に、空中に男の首が漂っていたという心霊現象の話ではなく、要するに部屋を覗(のぞ)かれてたわけです。窓の外は駐車場、窓は外から覗くにはちょうどいい高さの所にあります。
何秒間か見つめ合った後、男は走って逃げて行きました。どれぐらいの時間、覗かれていたのかは分かりませんが、完全に一人だと思ってふるまっていたものを全部見られていたと分かったら、相当恥ずかしいものがあります。
例えば屁をしたとか鼻くそをほじくっていたとか。
何ヶ月か後、結局この子は怖くなって引っ越したらしいです。