お客と運転手と、どちらが悪質なのか。
自分のちょっとした知り合いに、30代でヤンキーぽいと言うか、ちょっと悪っぽい男がいるのですが、その彼が言っていたことです。
とある日、彼が飲みに出ました。そして飲み屋街からタクシーに乗って彼の家まで帰ってきた時のことです。
彼の家までのタクシー代といえばだいたい1740円ぐらいです。
アパートの前について彼はお札を2枚出しまして
「じゃあ2000円から。」と言います。
彼はすでに後ろ座席の方でほとんど横になっているような状態で、猛烈に眠たい中、やっとお札を出したような感じです。
運転席の横のコンソールボックスの上に彼が出したお札が2枚置かれました。
ですがそれは2000円ではなくて「6000円」だったのです。
酔っぱらってお札を出し間違えることはよくありますね。2000円出したつもりがこのように6000円だったり、1万1000円だったり。
運転手の人の方はもちろんシラフですから、そこに6000円があるのが分かります。
そこで彼が
「どう~、ちゃんと2000円あるぅ?」
と聞いてきました。
その瞬間、運転手の人は魔が差したのか、バレないと思ったのか
「はい2000円ありますよ。」と答えてしました。
その瞬間、彼の対応は豹変しました。
いきなりガバッと起き上がって
「嘘をつくなーっ!!俺は今6000円出しただろうがっ!!何が2000円ありますやーっ!!」
運転手の人も腰が抜けるほどぶったまげました。彼はわざと6000円置いて酔ったふりをして2000円あるぅ?と言いながら運転手の反応を見たのです。
さっきまでほとんど寝ていたと思っていたのは、演技だったのです。なんという根性のひねくれた意地の悪いことをするんでしょうか。
しかしあわよくばそれを取ろうと思った運転手の人も運転手の人です。相手が酔っぱらってるからバレないとでも思ったんでしょうか。
「ごまかして取る気だったんかっ!お前泥棒やないか!警察呼べ警察!会社に苦情の電話したるぞ!」
と彼が激しくまくしたてます。
運転手の人も、相手の言ってることは事実ですから、もう、すいません、すいませんと謝るしかありません。
さんざん相手を罵倒(ばとう)してボロクソに言ったあげく彼は降りていきましたが、ですが結局、このことにより彼が料金を踏み倒すということはなく、ちゃんと1740円払って降りたそうです。別に会社に苦情の電話もしませんでした。
彼が言うにはこれは遊びだと言います。
罠をしかけて、相手の反応を見るのが面白い、謝らせるのが面白い。
ひっかかる運転手の人も悪いかも知れませんが、彼と運転手と、どっちがタチが悪いと言えばやっぱり最初に罠をしかけた彼の方だと思います。