忘年会シーズンでのこと
去年の忘年会シーズンでのことです。
ある居酒屋で、ある会社が忘年会をやっていました。10人ちょっとの集団なのですが、これがものすごくマナーもガラも悪い。
座敷で飲んでる最中に、ふざけあって蹴りを入れたりスリーパーホールドをかけたり、テーブルに置いてある醤油のビンに吸い殻を入れたり、食べ残しの皿を灰皿にしたり、大声出して騒ぎまくって、店にも非常に迷惑。
それで、宴(うたげ)もたけなわの頃、店のトイレの方から「ガッシャアン!」と何か割れたような音が聞こえてきたので、店長が何事かと思い、トイレに入ってみると、洗面所にかけてあった鏡が粉々に割られ、すぐ近くにはトイレの床掃除をするためのデッキブラシが転がっていました。
このブラシで鏡を叩き割ったようです。
犯人は誰か、考えると、もうこの集団のメンバーとしか考えられません。店長がトイレに向かう最中、この集団のメンバーの何人かは廊下にタムロしてましたし、他にお客はいたものの、そのお客たちといえば、子供連れでほのぼのと食事をしている人とかスーツ姿の会社員とか、紳士的な人ばかりで、そんなことをしそうな人は他に誰もいません。
100%間違いないと思い、店長は、その集団の予約時間の終わる寸前まで待って会計の前にその集団が飲んでいる座敷に行き
「すいません、帰られる前に確認しておきたいのですが、お客様方が先ほど割られた鏡ですが、修理代は会社の方に請求させていただきますが、よろしいでしょうか。」
と言うと、集団たちから
「鏡がどうのこうの言う話なんか知らんわ!」
「だいたい、何でワシらが割ったと決めつけるんじゃ!何か証拠があるんか!」とか、
「あんた、見たんかい、ワシらの誰かが割るところを!」
「証拠出してみいや!」
「割る瞬間を、あんたが見たんかどうか聞いとんじゃ!」
と、数人がかりで猛反発。
本当に割っていないのなら名誉棄損ということになります。
ですが、彼らは
「割っていない」とか「名誉棄損じゃ」とか無実を主張する発言は全くなしで「証拠を出せ」とか「お前は見たんか」とばかり言うので、この会話で犯人は彼らだと確信したらしいです。
時間をおいたために全員でとぼけようということでひそかに話がまとまっていたのか、それとも本当に違うのか。
ですが、相手が言うように証拠もなければ店側で見た人間もいない。
結局押し切られてそのままうやむやになりました。他のお客の手前、鏡が割られただけで警察呼ぶのも呼びにくかったらしいです。
確かに証拠もなしに人を疑うのは悪いとは言われますが、この場合どうしてもこの場ではっきりさせておかないと、帰られたら絶対そのままになります。
どう考えてもこの男たちしかいないという状況でしたが、押し切られて結局、店側が謝ったのは理不尽な結果に終わったということになるのか、それとも犯人だと決めつけた店が悪いのか。
果てしなく黒に近い灰色でも証拠がない。ない以上は口に出すべきではない、ということでしょうか。
忘年会シーズンも終わりました。ちょっと前までは、ボーナスの半分が忘年会代に消えるという人もいましたが、年々会社の忘年会は少なくなっているように思います。