営業会社の会議。売り上げを伸ばす良い方法。
随分昔のことになりますが、自分はレンタル商品の営業会社で働いていたことがあります。飛び込み営業で、商店とか会社をいきなり訪問して自分の会社の商品のレンタルの契約を取り付けてきたり、商品を買ってもらったりする仕事です。
レンタルの商品とは掃除道具や、芳香剤、空気清浄機、害虫駆除の機械などです。
これは30年くらい前、その会社に入社したばかりのころに撮ってもらった写真です。
営業ですから数字が全てです。個別に営業成績が出て社内に張り出されます。売り上げのことはものすごく言われます。
そうした会社の中で会議というものはやはりちょくちょくありました。管理職だけの会議ではなくて全員が参加する会議です。全員と言っても一つの営業所内ですから10人ぐらいです。
その中で頻繁に議題にのぼるテーマとして、「どうやったら売り上げを伸ばすことが出来るか。」というものがありました。
この手の話題は、あまりにもしょっちゅう議題にのぼるために、みんなすでに飽きぎみで、だいたいの場合、同じような案しか出てきません。
「実績を給料に反映させる額を多くする」とか、「販売コンクールなどで、優秀だった社員には多くの賞金を出すようにする」、「新商品を開発して違う客層を狙う」とか、そういったものばかりです。
そのたびに進行役の所長が「お前ら、毎回毎回、同じようなアイデアしか出てこんのか! 一生懸命考えてそれだけか!」などと、吠(ほ)えるのがよくある光景でした。
ある日の会議の時も、またもやその議題でした。その時所長に
「おう、吉田さん、どうやったら売上を伸ばすことができるか、あんたの意見はどうや。」
と聞かれたことがあります。
その時の自分の回答としては
「そうですね、売上を伸ばす良い方法ですか。。
最も良い方法は・・、所長を交代させることでしょう。」
と言ってやりたいたいところでしたが、所長に対してこんなことを言えるわけがありません。思っただけです。
とりあえず差し障(さわ)りのない返事をしておきました。
これの逆のバージョンとして
「社員を全員入れ替えたら良いと思います。」というのがあります。
ですがこの場合、実際に実行されたら自分もクビになってしまいます。
ちなみにこちらは社内に貼られていた成績の棒グラフですが、これは金額で長さが決まります。少額の契約を何件もとってもグラフはちょっとずつしか伸びません。
逆に大きな金額の契約を取ると一気に伸びてその一件だけでぶっちぎりのトップになることもあります。
この棒グラフは毎日事務員の人が更新して書き足し、一か月ごとに張り替えられます。
自分はだいたい3位くらいの成績が多かったですね。
たまに運よくトップになることもありました。きっちりその時の写真は撮っておきました。
そしてまた、ある別の日の会議の時ですが、また所長が言います。
「今月の自分の数字が悪かったらすぐに、今月はもう諦めたとか、今月はもう捨てた、とかいう奴がおるが、そんな気持ちでおるからますます数字が上がらんのじゃ!」
「自分の数字が悪い時こそ、どういう心構えで仕事に臨むべきか、ひとりひとり意見聞こうやないか!
おう、最初に吉田さん、そのことについてあんたの考えはどうや?!」
と所長に聞かれまして
「そうですね、今月の自分の数字が悪い時ですか。。
そういう時には・・・他の人はもっと悪くなればいいと願うだけですね。」
と言いたいところでしたが、こんなことを全員の前で言えるわけがありません。これも思っただけです。
「必死になってやっていた新人時代を思い出し、初心に帰って頑張りたいと思います。」というようなことを言っておきました。