外からノックしてくるのは誰。

とある船員さんから聞いた話です。
船を港に着けた時に港と船に渡す板がありますね。渡り板とかブリッジなどと呼ばれています。
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これで船と港を行き来するわけですが、たまに転落する方もいます。日本だけでも全ての船のことを考えれば何千人という人が毎日この人を渡っているわけですから、落ちる人がいても不思議ではないわけです。

落ちても誰かに助けてもらえればいいのですが、夏ならともかく、真冬に冷たい海に落ちれば、いくら海の男といえども死亡してしまう場合もあります。

この話をしてくれた船員さんもやはり同僚がこの板を渡っている最中に転落してしまってそのまま亡くなってしまったそうです。

通夜も葬儀も終わってしばらく経った頃、この船員さんが船の中の自分の部屋にいた時に、壁の外側からコンコンと、ノックしてくる音が聞こえてきました。

廊下の方でありません。明らかに船の外側、すなわち海の方からコンコン、そしてまたコンコンと何回もノックの音が聞こえてきます。

ピンと来ました。あいつだ!船の外からノックしていやがる!

ゾッとしてその船員さんは自分の部屋を出てソファーのある場所に来ました。

ソファに座っているとやはり同じように船の外側から今度はゴンゴン!ゴンゴン!と、さっきのノックの音とは比べものにならないほどの激しい衝撃と音が聞こえてきました。

あいつに間違いない。あいつが外から叩いてるんだ。その船員さんも確信しました。

船は港に着いている時だったので、ワンカップと線香を買いに行き、港に備え線香に火をつけて手を合わせて

「ノックするのはやめてもらえますか。ノックするのはやめてもらえますか。」
と、何回も心の中で念じたそうです。
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その願いが通じたのかそれからは音が止(や)んだと言っていました。

「やっぱああいうの、あるんよ!あれは絶対幽霊だって!」

と言っていましたが、ちなみにこの船員さん、すごくいかつい顔で

「本当ですか~、その話、ヘラヘラ」

なんて言ったら怒鳴り散らされそうな雰囲気だったのでとてもじゃないが、ふざけたリアクションなんかできませんでした。本気で言ってるような真顔でした。

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