ちょっと変わった知り合い。(2)

▼03 ホームレスの社員

ホームレスとは、読んでそのまま、家のない人のことですが、家がないからといって、仕事も寝るところもないというわけではありませんね。

自分がこれまで出会った人の中で、家がない、かつての会社の同僚は5-6人いました。全員、すでにそこを退職したり、自分(吉田)の転職などで縁が切れているので、今ではどこでなにをしているのか分かりません。

大体、少しでも給料をもらっているのだから、アパートでも借りれそうなのものですが、家賃や光熱費を払うのが嫌でそれをしようとしないのです。

全員が、「自家用車」が家でした。風呂は銭湯、洗濯は会社の洗濯機。何か住所を書かなければならない時には、会社の住所を書きます。

保険や免許、その他市民としての手続き、税金関係など、どうやっていたのか一切謎。

その中の1人は、会社の駐車場の一番端に停めてある軽自動車が家でした。ですから会社の駐車場に住んでいたわけです。

ですが、その車は車輪に4本とも草のツタが絡(から)み付いていましたので、どう見ても何年も動かしていないのがすぐに分かります。エンジンがかかってるのを見たことがありませんし。

春と秋は、その中で寝れますが、夏と冬は冷暖房がないと、とてもじゃないですが寝れません。ですからその人は、夏と冬になると、会社の駐車場に停めてある適当な人の自家用車に乗り込んでエンジンと冷暖房をつけて、その中で一晩過ごします。

会社の駐車場が、どの位置に停めていても出られる駐車場ではなく、奥の車を出そうと思ったら、手前の車を動かさなければならない駐車場だったので、みんな鍵をつけっぱなしにしてたわけです。

だからどの車でも乗れたわけで、車から車を転々として日々を過ごし、その中で飯食って酒飲んで寝てました。もちろん、一晩過ごす車は、あまり怒らない人の車を選んでたようです。

当時聞いた話では、この人は10年以上こういう生活を続けていたということです。

10年以上ホームレスの人は、当時知っている限りではこの人を含めて2人いました。

他の人はホームレスになったりアパートを借りたりの生活でした。
せっかくアパートを借りても、しばらくすると家賃滞納で追い出され、再びホームレスになり、また何年か経ったらまたどこかにアパートを借りる、という感じで、家のあるなしを繰り返すパターンの人の方が多かったように思います。

家があってもなくても、あまり気にならないような人たちでした。

みんな、パチンコで勝った時にはホテルに泊まったり、季節のいい時には公園で寝たりもしてました。

多分、今頃はみんな結構な高齢になっているはずですが、今はどうしているんでしょうね。

▼04 金の持ち逃げ

自分の前の会社では極度に金に困っている人が結構いました。とある60代の彼もその一人でした。

ですがその彼はある時を境にぱったりと会社に来なくなりました。

人から聞いた話ですが、その人は結構ヤクザの知り合いがいて、とあるヤクザから100万ほど受け取ってそれを別のヤクザに届けるように指示されたそうです。
要するに使いっ走りを頼まれたわけです。

ですが彼はその金を持ってそのまま蒸発しました。

その人は普段から金に困っている人で自家用車も持っていないような人でしたが、社用車は仕事で運転していましたので、もちろん車の運転はできます。

そして蒸発する直前、会社の同僚の一人に声をかけて

「〇〇さん、ちょっと出かけてきたいんじゃけど、車貸してくれんか?」と言って会社の同僚の自家用車を借りて会社を出発し、すぐに帰ってくるのかと思いきや、そのまま蒸発したそうです。

結構豪快なことしますね。会社の同僚から車を盗み、ヤクザの金を持ち逃げするとは。

それでそのヤクザがかなり探しているという話は聞きました。その蒸発した人は、自分はあまり好きではない人だったため、親しくはありませんでしたが会社の同僚ですので、まさか自分のところへヤクザが来て

「わりゃ居場所知っとんかい!」

などと問い詰められたりせんだろうかと、かなりビビってましたが、幸いそういうこともなく月日は過ぎて行きました。もう17年くらい過ぎました。
そのあとの話は聞きませんでしたので、そのまま逃げ切ったのか捕まったのかは分かりません。

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