修理とお茶

ある飲み屋のママさんが、店のエアコンの修理を頼んだ。飲み屋だから当然昼間はお客がいないので、修理を頼むにはちょうどいい時間。
ママさん立ち合いの元で修理は無事終わった。
 
「ありがとね、これで助かったわ。まあ、お茶でも飲んで帰って。」
 
と言ってママさんが、電気屋の人にウーロン茶を一杯出した。電気屋の人もカウンタに座って、ちょっと休んで帰ることにした。お茶を飲んでいると、更にママさんが
「これ、店で出してるものだけど、こっちも良かったら食べて。」と言って、せんべいを出してきた。
 
「いやー、ありがとうございます、それじゃいただきます。」と言って出されたものだから残しては失礼かと思い、電気屋の人も、お茶もせんべいも全部たいらげた。
 
「それじゃそろそろ失礼します。」と言って帰ろうとするとママさんが、
「ちょっと待ちいや。あんた、今のウーロン茶とせんべいの料金払ってないでしょうが。」
と言う。
 
「は?あれはタダじゃないんですか?」
「うちだって商売でやっとるのに、カウンタに座って飲み食いして、タダのわけないでしょうが!二千円置いて帰りんさい!」
 
「いや、だったら最初からそういってくれれば・・。」
「言わなくても常識でしょうが!」
 
と言うので、電気屋の人も払わざるをえなかった。あつかましいといえばあつかましいが、筋が通っているといえば通っている。エアコンの修理代はもらったが、お茶とせんべいの二千円は自分の財布から払った。何か、だまされたような気分だったという。

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