文句を言わない人たち

何年か前、ある会社(A社)が新年宴会を行った。
宴会を行う会場は、A社の大口の取引先である、とある居酒屋だった。普段から、その居酒屋はA社からよく商品を買ってくれる。どうせ宴会をやるなら、普段お世話になっているお店でやろうということになったのだ。

会費は2000円ということで予約して話がついた。「それくらいの金額なら・・」ということで、珍しく全員参加となった。

だが、幹事の聞き違いで、2000円ではなく、3000円だったということが前日になって判明した。
1000円アップ・・「まあ1000円くらいなら・・」ということで誰も反論はしなかった。(3000円になった。)

だが、料理に1500円をプラスしないと「飲み放題」にならないということが当日の朝になって判明した。
更に1500円アップ・・「まあ1500円くらいなら・・」ということで誰も反論はしなかった。(4500円)

だが当日、開始2時間前になって、2人ほど急用で来られないことになった。11人で予約していたので、11人分の料金を9人で払わなくてはならなくなった。割り算をすると一人当たり1000円のアップ。(4500×11÷9=5500円)
「まあ、そういうことならしょうがないか・・」ということで誰も反論はしなかった。

この時点で会費は5500円に跳ね上がっていた。
そして宴会が終わり、会計の時になって、全員が予約していたコース以外のものを好き勝手に注文していたということで、更に一人あたま1500円の追加料金を払わなくてはならなくなった。結局2000円という話は最終的には7000円になってしまった。

「まあ、自分たちが食べた分だからしようがないか・・。」ということで、ここでも誰も反論はしなかった。

だが翌日、激しい下痢と内臓の痛みを訴えて、A社の社員は4人ほど会社を休んだ。どうやら昨日食べたものの何かが当たったようだ。単なる食べ過ぎではなく、他の客も食当たりを訴えたことから保健所が調査に入ることになった。するとやはり食中毒だったことが判明し、その店は一定期間、営業停止処分をくらってしまった。

4人も休んでは業務がまわらない。だが、その居酒屋は冒頭に書いたように、A社にとっては大口の取引先であるから文句を言うわけにもいかない。

「うちの会社のお客さんだからしょうがないか・・」ということで、ここに至っても誰も文句は言わなかった。結局全員泣き寝入り状態。素晴らしい人格の人たちである。

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