一緒にコンビニ行きませんか

ある友人が飲みに出て、帰りに代行(代行運転)を頼んだ。代行会社の人に自家用車を運転してもらって自分は助手席に座り、
 
「運転手さん、帰りにコンビニに寄ってもらえますか。」
と頼んでおいた。
 
コンビニに着いた時、彼が
「運転手さん、一緒にコンビニ行きませんか?何でも買ってあげますよ。」
と誘ったら
「えっ、そうすか~、悪いすね、じゃ一緒に。」
と運転手の人も降りて一緒にコンビニに入った。
 
「私しゃ、焼酎が好きでしてね、『いいとも』買ってもらってええすか?」
と運転手が聞くので彼も
「はあ、いいですよ。」
と言うと「いいとも」の900mlを2本、カゴの中に入れられた。
 
「2本かよ。」と彼が思っていると今度は
 
「タバコもええすか、2つほど。」
と運転手が聞いてくるので、
「まあ、いいですよ。」と彼が答えると運転手はレジに行って、
 
「すいません、45番のタバコを2カートン。」
 
とカートン単位で注文した。(タバコを吸わない人は知らないかも知れないが、カートンは10個パックのことで、410円のタバコだったら1カートンは4100円。)
 
結局運転手への買い物は1万円くらいになった。
「いや~、すいません、ありがとうございます。ホント、助かります。」
 
と、運転手は何回も頭を下げた。
 
「ちょっとあつかましいんじゃないか」と言ってやりたくもなったが、運転手が満面に笑みをたたえて、ものすごく喜んでいるので彼も文句を言う気にならず、素直に金を払った。この人も、人がいいというか何というか。
 
それで家に着いて払った代行料金の方は2千円だった。
 
普通、こういう場合は、缶コーヒー1本にしておくのが常識だが、ちょっと感覚のズレた人に好意を示すと痛い目にあうような気がする。

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