ハンドルキーパーの危険性

「ハンドルキーパー」とは、ご存じのように、飲み会で、あらかじめ飲まない人を決めておいて、飲み会が終わった後、みんなを自家用車で家まで送っていく人のこと。元々酒が飲めない人が務めるパターンが多いです。
 
ある会社の飲み会で、その日のハンドルキーパーは、その課の課長と、他に2-3人でした。飲み会の中で一人の新入社員が、別に誰も勧めていないのに、ガンガン飲み、途中からの予測通り、一次会が終わった頃には完全に酔いつぶれてしまいました。テーブルにうつぶせになって寝ている状態です。
 
幸い課長は、そのコの家を知っているし、車で5分くらいの所なので、みんなで肩を貸して何とか課長の車の助手席に乗せ、後ろ座席には別の２人が乗って、一次会で帰る者4人が乗り込み、それぞれの家に向かって発進しました。
 
ですが、走り出してすぐの時、突然そのコが目を覚まし
 
「うっ！うええええっ！」
 
と、下を向いて豪快なゲロを吐き始めました。びちゃびちゃびちゃっと助手席の足元は瞬時にゲロの海です。
 
「うわああっ！」
 
と、課長が・・、というよりこの車の持ち主が悲鳴を上げます。
 
「お前、吐くなら事前に言えよ！」
 
と言ってる間にそのコの家の前に到着。
 
吐いて目を覚ましたのか、
「あぁ・・すいません。僕の家、ここですので。。吐いてすいません、すいません。。送ってもらってありがとうございました。。。」
 
と言ってドアを開けてふらふらと降りて行きました。後に残されたのは強烈なゲロのにおいと足元の現物。
 
送ってもらっておいて人の自家用にゲロを吐き、一番最初に降りて行く・・これほど恩を仇で返す行為があろうか。。でも吐いたそのコは、お詫びもお礼も言ってるので、一応礼儀は尽くしています。
 
後ろ座席の２人も、本当は、もうここで降りて「すいません。後はタクシーで帰ります」と言いたかったのですが、この状態で逃亡するのも課長に悪いので、そのまま付き合うしかありません。
 
善意でハンドルキーパーを務めるのは良いことですが、こういう危険性もありますね。