昔占い師に言われた予言
時代が昭和から平成に変わった年、自分は東京で働いてました。だから今から26年前になります。当時いた会社から東京の方に、4ヶ月ほどでしたが研修に出されていました。
ある日の晩、何気なく街を歩いていると道路に占い師が店を出していました。昔ながらの小さいテーブルを前に置いて、そこには占い師の格好した1人の男が座っています。
机の前にはあなたの運勢を占います 仕事 結婚 私生活 と書かれていました。
座っている男はどう見ても20代前半の男。アテになるのかなーと思いつつ、自分が当時いた職場が、ものすごく嫌なところで毎日毎日ストレスだらけだったので、ちょっと自分の未来でも占ってもらおうかと思い、その占い師に話しかけました。
「すいません、ちょっと占って欲しいんですけど。」
「はい、どういったことでしょう。」
「何か、毎日すごく嫌なんですけど、この先自分が転職することになるのかどうか分かりますか?」
転職するかどうかは結局は自分が決めることなんですが、その時は未来の自分がどういった決定をするのか、ちょっと興味があったのであえて聞いてみました。
占い師はハシのような細い棒状のものを何十本か取り出し、ジャラジャラと回してその中の一本を引き
「そうですね、あなたはそう遠くないうちに転職することになるでしょう。」
と答えました。その後、自分が
「他にも何か分かることがありますか?」
と聞くと、
「そうですね、それではちょっと手相を見てみましょう。」
と言うので手のひらを差し出しました。
しばらく自分の手相を見た後、占い師が机の上に置いてある本に手を伸ばし、バラバラとめくって何かを探し始めました。
「分かりました。あなたの未来ですが、ちょっと言いにくいのですが、これから数年後にあなたは強盗や殺人に巻き込まれるでしょう。」
と言います。
「はぁ?本当ですか、それは!」
「はい。そして更に言いにくいことですが、あなたは35歳で発狂します。」
「はい!? マジですか、それは! 大体、何を根拠にそんなこと言ってるんですか?」
「この本にちゃんと書いてあります。」
「どーいう本なんですか、それは!ちょっと見せて下さいよ!」
「いやいやだめです、これは見せられません!」
と言うのでしょうがないから一応引いて、料金の千円を払った。当時は自分も20代だったし、まだ多感な時期だったので結構この予言は気にしました。
しかし、普通こんなこと言うか? 一応こっちは客なんだけど。
それから数年が経ちましたが、幸いにも予言はハズれ、強盗や殺人には巻き込まれていません。35歳もとっくに過ぎました。まだ発狂していません。