ほとんど寝る時間もないほどの、ハードな運送会社
ある商品をネットを通じて注文した。
何日か経って、ある日仕事から帰ってきたら、荷物の「不在配達票」が入っていた。
その紙には、持って来てくれた人の名前と携帯の番号が書いてあったので、すぐに電話してみた。時間は夜の9時をちょっと過ぎていた。
「あのー、不在配達票が入っていた者なんですが・・」と言うと
「あぁ、すいません、お客さん、僕、今、家に帰って来たとこなんですよぉ。」と言うので、
「あ、いえいえ、今から持って来て下さい、なんて言いませんので、明日またお願いしようかと思うんですが。」
「あぁ、明日は僕2時から仕事なんですよ。」
「2時からっていうことでしたら、昼からっていうことになりますね。」
「あ、いえいえ昼の2時じゃなくて夜の2時なんですよ。」
「よ、夜の2時ですか!」
「そうなんです。1時半には起きないといけないんですよ。」
「1時半っていったらあと、4時間半しかないじゃないですか。毎日、夜の9時に帰って夜の2時に出勤するような生活してるんですか?」
「毎日じゃないですけど・・それに近いです。」
「キツクないですか?」
「キツイです・・。」
「眠くなったりしません?」
「眠いです・・。」
「身体大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないです・・。」
「わ・・分かりました・・。それじゃ、明日・・どうしましょう?」「あのー、明日の朝、あなたの出勤前にお伺いしてもいいですか?朝7時ごろ、まだ家にいます?」
「はい、まだいますので・・起きて待ってますのでよろしくお願いします。すいません、貴重な時間に電話なんかかけてしまいまして。」
「いえいえ、そんなことはないんですが・・それじゃ明日お伺いします。」
と言って電話を切った。なにかその人のすごく貴重な時間をさいてしまったような気がしたのでとりあえず謝っておいた。
そして次の日の朝、その人はやって来た。ピンポンが鳴ったので急いで玄関を開けると、その人が荷物を持って立っていた。時計を見ると6時50分だった。
「サインお願いします。」と言うので僕がサインすると、伝票を持ってダッシュで去って行った。まだ、相当件数が残ってるんだろうなあ。
はたしてこの人の所属している運送会社がそれだけの長時間労働を強制しているのか、それともこの人が二つの運送会社を掛け持ちで働いているのか、その辺のことはよく分からないが、世の中には凄い人もいるもんだ。
こういう人に持って来てもらったのかと思うと、この商品が特別な物のように思えてくる。その人に報いるためにも、しっかりと使わなければ。