激辛の麺に挑戦した彼。食べるのも命がけ。
随分と昔、繁華街で、とある知り合いと一緒にいたら、彼が「一緒に『つけ麺』を食べに行こう」と言い出した。「つけ麺」とは、ラーメンの麺を、そうめんみたいにだし汁につけて食べるものである。
入ったその店は辛さがウリで、辛さの調節は言えばしてもらえる。自分は辛いのダメなので、当然一番下の辛さ。
だがその彼は、食べる前に店長から「うちの店で最高級の激辛を食べて、汁まで飲んだ人はオープン以来一人しかいないよ。」というセリフを聞いて「じゃ、その一番の激辛でお願いします。」と注文してしまった。
最初は面白いから勧めてたのだが、その汁を箸につけてちょっと舐めてみたら半端じゃない辛さだった。汁が液体じゃなくて、半練りタイプの唐辛子の粉末そのもの。
「食う!俺は絶対食う!」と言いながら食ってたが、途中で10分と5分の休憩をはさんで煙草を二本吸って、お茶を大量に飲んで、替え玉3つ注文して「ベロが痛い」とか「ノドが焼ける・・。」などと言いながら、涙流して30分かけてついに汁まで全部飲み干した。
何の意味もない挑戦に思えたが、本人にとっては大事な意味があったんだろう。多分翌日は下痢。あんまり辛いの食べると下痢になるらしいので。
店長の話によると、以前一番の激辛を食った人というのは
「うわ、辛いな、これ。」
と言いながら、普通に食ってずずっと汁を飲み干したらしい。命がけで食ったこの人とはレベルが違う。世の中、すごい人がいるもんだと感心してしまった。