捨てられないもの
これは、自分が作ったものではありませんが、タバコの箱の廃品利用で作った傘です。
7年か8年くらい前だと思いますが、自分が、ある飲み屋に居た時、60歳前後の1人の男の人が店に入って来て
「ママさん、今回はいっぱい出来たで~。」とか言いながら、袋の中から、こういう傘を何個も取り出してカウンターの上に並べてました。
ママさんも、「タバコの箱もいっぱい溜まっとるよ。」と言いながら、カウンターの端っこから、多分45リットルのゴミ袋2つに一杯に溜まったタバコの箱を持ち上げて見せてました。
どうやらこの人、ママさんに、お客のタバコのカラ箱をとっておいてもらうように頼んでおいて、それをもらっては傘を作って、ここの店に持ってきているようでした。
どうりで店の中に傘がいっぱいぶら下げてあると思いました。もっとも、この人が傘を持って行ってるのはここだけじゃないかも知れませんが。
それでその時たまたまその場に居合わせた自分に向かって
「おう、あんたにもあげよう!これ持って帰りんさい!」
と言って、もらったのがこの傘です。
この人と自分との間柄といえば
「顔は見たことあるけど、しゃべったことがない」
という間柄です。ですからほとんど知らない人です。
「ありがとうございます。飾らせてもらいます。」
とは言いましたが、こういうのをもらってもちょっと。。
一応、家の本棚の上に、ホコリをかぶらないようにビニール袋に入れて飾りましたが、それからもう7-8年です。
その人とは人間関係もないし、あれから全然出会ってもないし、この傘に愛着も全然ないんですが、どうもこの傘、捨てられませんね。
相当丁寧に正確に作ってあるので「これ作る時、一生懸命作ったんだろうなぁ」と思うと、ほとんど知らない人の作ったものとはいえ、粗末に出来ない気がして。
結局引越しの時も持って来ましたし。
手作りの物というのは、価格というものとは別次元の価値を感じます。
写真撮るためにビニール袋から出して並べましたが、この後、またビニール袋に入れて元々の本棚の上に戻しました。
結局これ、ずっとこのまま家にあることになるでしょう。