繁華街の幽霊

自分の住んでいる街の繁華街は、わずか300m四方くらいの狭い範囲に飲み屋が集中しているが、なぜかその範囲内に寺が6つか7つくらいある。寺のすぐ横に飲み屋街のビルが建っていたりするのだ。
 
寺が多いということは墓も多いということで、昔はこのあたり一帯、墓だったらしいのだが、それらを移転やつぶしたりして飲み屋街を作ったと聞いたことがある。
 
そのせいかどうか分からないが、この飲み屋街で幽霊が出るという話をよく聞く。あるママさんが、店が終わって片付けをしていると、店の中に誰もいないのに、すぐそこから歩く靴の音が聞こえてきたり、カーテンが勝手に閉じたり開いたり、あるいは流しでコップを洗っていると蛇口の後ろの壁から人の手が出たり引っ込んだりするらしい。
 
何年か前、とある飲み屋が移転して別のビルに移ったが、それも店の中に幽霊が出るというのが移転の理由の一つだったという噂もある。
 
で、この間聞いた話なのだが、昔ある人がこの飲み屋街に飲みに行って、酔っ払ってふらふらと歩いていると、歩道の真ん中に一人の男が立っていた。
 
その立っている男は、とても今風の服とは言えないような古い服・・時代劇に出てきそうな古い服を来て立っていたらしいのだが、その男の手には切断された首が握られていた。
 
場所は飲み屋街の道路なので、結構人が歩いている。実際にそういう男が立っていれば誰かが警察に通報して大騒ぎになるところだが、周りの人は普通に歩いていて、その男が見えてない様子だ。
 
自分だけに見える「生首を持った男」。これは酔っ払ったせいで幻覚を見ているのか、ほんとの霊なのか。見た本人は絶対、幽霊だ、と主張しているが。。。
 
なにぶん酔っ払いばかりが歩いている街なので、酔って見間違いも多いかも知れないが、本当の幽霊が店内で横に座っていても気づかずに楽しく飲んで帰った人も多いかも知れない。

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