酒癖が悪い

ある人が職場の飲み会で飲みに行った時のこと。その中に、みんなから「酒癖が悪い」と言われている人が混じっていた。この人、普段はおとなしい人なんだが。
 
酔ってくるとやはりその人は、誰か一人をつかまえて散々インネンをつけ始めた。それがエスカレートし「お前、何様じゃ、殺したろーか、わりゃ!」「ワシはお前のことが前から大キライじゃったんじゃ!」「殴ったるけえ、表へ出えや!」
こんな感じ。
 
からまれてる人は温和な人だったので、別に自分が悪いわけでもないのに何回も謝って、何とかその場は終わった。
 
しかしあれだけ言われたら気分がいいわけがない。その、「からまれた人」も怒ったまま家に帰った。
 
「何が前から嫌いだった、じゃ。それはこっちのセリフじゃ!今日で絶縁じゃ!もう、仕事以外では一切口をきかん!」
と心に誓った。
 
だか翌日の休みをはさんで再び出勤すると、朝一番から、またあの男にばったりと出会ってしまった。同じ会社なのだから当然であるが。
 
またおとといの続きを言ってくるんじゃないかと身構えたが、相手は
 
「おっはよおございまぁす!あの日はちゃんと帰った~?俺、昨日すごい二日酔いでさ~、目が覚めたら家で寝てたよ。どうやって帰ったのか全然覚えてなくってさぁ~。」
 
と、あまりにも爽やかに話しかけてくる。
 
どうやら何も覚えてない様子。
 
絶縁すると心に誓っていたが、あまりにも相手が笑顔で親しく話しかけてくるので、結局その誓いはうやむやになった。納得出来ないまま、人間関係は修復された。こういう場合はもう、あの日のことには触れない方がいいのかも知れない。
 
「酔って覚えてない」ということはよくあることだが、その覚えていない時間帯に、人から恨みを買うようなことをしていたり、口止めされているようなことをペラペラしゃべったりしている可能性などは十分にある。
相手が突然自分を避け始めても、もちろん自分に心当たりなどない。

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