殴って退職を止める

何年も前のことですが、とあるホストクラブがありまして、そのホストクラブは、話を聞くに、メンバーがどうもガラのいい人間とは言い難い人ばかり。
 
ある時、その店の従業員である1人のホストが「店を辞めたい」と店長に申し出たそうです。

それで店長が何とか辞めないように説得するのかと思いきや、全然そうではなく、反対に逆ギレして、そのホストの顔面をブチ殴ったそうです。
 
その殴られたホストの奥さんの話だと、ずいぶん顔を腫(は)らして帰って来た日があったと言ってました。辞めたいと言ったら殴られた、と。
 
それでそのまま店を辞められたかというとそうではなく、脅されて、結局顔の腫(は)れが治ったら、また出勤していくこととなりました。
 
殴って退職を止める・・。
 
そういう所もあるでしょうが、奥さんが言うには
 
「殴られたら、そのまま辞めたいよねー。それでまた出勤し続けるって、これって殴られ損じゃない!」
 
と言ってましたが、全くその通り。
 
この事例って、傷害罪とか警察とか、労働基準監督署とか、そういった法的なところに話を持って行ってもいいレベルなのですが、その辺り、これまでの人間関係とか、本当に辞めた時の報復のことを考えて、警察沙汰にはしなかったようです。
 
この店はそれから1年か2年かの後に潰(つぶ)れてしまいまして、今では、全然違う店に入れ替わってます。
 
やっぱり恐怖による内部の統治なんかが、何となくお客にも伝わって、従業員がかわいそうだとか、行っても面白くない、なんて感じで客足が遠のいたんじゃないかと思います。
 
こういうのは全国で言えばほんの一端でしょう。辞めたくても怖くて言い出せないという状況の人って他にもいっぱいいるような気がします。

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